喉に違和感や痛みがあるとき、風邪なのか性病(性感染症)なのかわからず悩んでしまう方も多いでしょう。
性病の中には喉に痛みや違和感、腫れなどが生じるものもあるため、風邪と決めつけて放置してしまうと、症状が悪化してしまう可能性があります。
そこで今回は、性病で喉が痛くなることがあるケースや風邪との見分け方、その感染経路や検査・治療法などについて解説します。
性病で喉が痛くなることはある?風邪との見分け方は?
喉に痛みを生じる性病(性感染症)はいくつかあります。まずは、性病によって起こる喉の代表的な症状について見ていきましょう。
性病によって起こる喉の代表的な症状
性病によって起こる喉の症状には、主に次のようなものがあります。
- 喉が痛む
- 喉が赤くなる
- 喉が腫れる
- 水ぶくれのようなものができる
- しこりのようなものができる
- 咳や痰が出る
- 扁桃腺が腫れる
性病による喉の痛みは、軽いものから激痛までさまざまです。
喉の赤みや腫れ、咳、痰、扁桃腺の腫れなど、風邪と似た症状が出ることもあります。
痛みを伴う水ぶくれや、痛みのないしこりが喉にある場合も、性病の可能性があります。
性病と風邪の見分け方は?
ただし、喉の痛みは性病以外の病気が原因の可能性もあります。
前述したように、性病による喉の症状には風邪に似たものがあります。
喉の痛みに加えて咳やくしゃみ、鼻水、頭痛、熱など、風邪の代表的な症状がみられる場合には風邪の可能性もあるでしょう。
風邪薬を飲んでも喉の痛みが続き症状が改善されない場合で、かつ性病への感染に心あたりがある場合には、性病を疑い検査を受けることをおすすめします。
喉に違和感が出る性病にはどのようなものがある?
喉に違和感がでる性病には、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
ここからは喉に違和感が出る性病とその症状をご紹介します。
咽頭クラミジア
咽頭クラミジアは、クラミジア・トラコマティスが咽頭に感染して起こる性病です。
潜伏期間 | 1~3週間 |
症状 | 軽度の喉の痛み、無症状のことも多い |
症状が出る場合、喉の痛みは軽度です。また、無症状のことも多いため感染に気づかないケースが多々あります。
咽頭淋病
咽頭淋病は、淋菌が咽頭に感染して起こる性病です。
潜伏期間 | 2~10日間 |
症状 | 喉の痛み、咳、痰、喉と扁桃腺の赤みや腫れ、発熱 など |
咽頭淋病の症状は風邪に似ており、喉の痛みに加えて咳や痰が出る、発熱することもあります。そのため、感染に気付かず悪化してしまったり、感染を広めてしまったりすることも少なからずあります。
咽頭ヘルペス
咽頭ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)に感染して起こる性病です。
潜伏期間 | 2~8日 |
症状 | 喉の強い痛み、嚥下痛、水泡、高熱、頚部リンパ節の腫れなど |
咽頭ヘルペスが発症すると、喉に強い痛みを感じ、唾液を飲み込む際や飲食の際にも痛みが生じるでしょう。
また、強い痛みを伴う水ぶくれができたり、高熱が出たりしまうこともあります。
ヘルペスウイルスは一度感染すると完全に除去できない、完治しない病気です。
免疫力が低下したときに再発する可能性もあるため注意しましょう。
梅毒
梅毒は、原因菌の梅毒トレポネーマに感染して起こる性病です。
潜伏期間 | 10日~3か月 |
症状 | 口唇・喉のしこり、口角の炎症 |
梅毒に感染すると、潜伏期間を経て口の中や性器周辺にしこりや潰瘍ができることがあります。
しこりや潰瘍は痛みを伴わないことが多く、放置していると症状が自然と消えることがありますが、梅毒が治ったわけではありません。
さらに放置を続けると、病気が進行し内臓にまで影響が出てしまうことがあります。
HIV(Human Immunodeficiency Virus:ヒト免疫不全ウイルス)
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)は、ヒトの免疫細胞に感染するウイルスです。
HIVに感染すると、のちに免疫細胞が減ることで普段は感染しない病原体にも感染しやすくなり、さまざまな病気になってしまう「後天性免疫不全症候群(AIDS:エイズ)」を発症することがあります。
潜伏期間 | 2週間~3か月 |
症状 | 喉の痛み、咳、痰、喉と扁桃腺の赤みや腫れ、発熱 など |
HIVの感染初期には、喉の痛みや咳、痰、発熱など、風邪に似た症状があらわれることがあります。
そのほかに、倦怠感やリンパ節の腫れ、頭痛、発疹などの症状が出ることもありますが、一定期間を経て消えてしまうことも特徴です。
喉に症状がある性病の感染経路
喉に症状がある性病は、主にオーラルセックスやキスによって感染します。
オーラルセックスにおいては、口から性器、性器から口への2通りの感染経路が考えられます。
喉だけでなく性器周辺にも症状がある場合には、性病の可能性があるでしょう。
HIVにおいては、性行為やオーラルセックスだけでなく、血液などからも感染します。
性病の検査・治療方法は?
性病の検査では、尿や分泌物の検査、血液検査、うがいの検査などが行われます。
検査ができる時期は性病によって異なり、クラミジアや淋病は感染の可能性があった日から2~3日ほどで検査可能です。
ヘルペスの場合、感染の可能性があった日から1日ほどで検査できます。
検査の結果、性病であった場合には治療が開始されます。
治療は抗菌薬(抗生物質)や痛み止め、炎症を抑える薬の服用や薬剤の塗布、点滴など、病気と症状によって内容が変わります。
性病は予防できる?
性病の予防の基本はコンドームの適切な使用です。
しかし、コンドームの使用だけではオーラルセックスやキスによる性病は予防できません。
コンドーム以外の予防法の1つに、性感染症予防薬があります。
性感染症予防薬(ドキシペップ:Doxy-PEP)
性感染症予防薬(ドキシペップ:Doxy-PEP)とは、性交渉後72時間以内に抗生物質のドキシサイクリン(ビブラマイシン)を服用することで、一部の性感染症を予防できる性病予防薬です。
特に菌量が増える前の性交渉後24時間に服用することが望ましいです。
ドキシペップでは、梅毒・淋病・クラミジアを予防でき、その予防効果は梅毒で87%、淋病で55%、クラミジアは83%と発表されています(※2022年7月国際エイズ学会発表の数値)。
オーラルセックスを含む性行為をする可能性がある方、複数のパートナーと性行為をする可能性がある方、過去に性病に感染した経験がある方、性的サービス店を利用する機会のある方は、性感染症予防薬の使用を検討してみましょう。
ただし、日光過敏症の方や、テトラサイクリン系のアレルギーがある方は服用できません。
また、下痢や吐き気、めまいなどの副作用が生じることもあります。
使用されたい方はまずは医師に相談してみましょう。
風邪やほかの病気と決めつけずに検査を受けてみよう
喉に症状があらわれる性病の中には、風邪に似た症状のものもあります。
また、梅毒やHIVのように症状が一度消失する性病もあるため、「症状があったけれど軽快したから大丈夫」と思い込まず、性病の可能性がある場合には医療機関を受診して検査を受けてみることをおすすめします。