性病の潜伏期間についてご存知でしょうか。
この記事では、性病の種類ごとの潜伏期間をわかりやすく解説します。それぞれの性感染症の潜伏期間を知ることで、早期発見・早期治療できる適切なタイミングで医療機関を受診できます。
性感染症への不安を解消し、自分自身の健康を守り、大切なパートナーの健康も守るための知識を身につけましょう。
性病とは何か
性病とは、性行為によって感染する病気の総称です。医学的には性感染症(STI・STD)と呼ばれ、細菌、ウイルス、寄生虫などさまざまな病原体によって引き起こされます。
性行為には、性器の挿入を伴う性交渉だけでなく、オーラルセックス、アナルセックスなども含まれます。また、感染者の体液(血液、精液、膣分泌液など)に接触することやキスでも感染する可能性があります。
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性病(性感染症)の種類と感染経路
性病(性感染症)にはさまざまな種類があり、それぞれ原因となる病原体や症状、潜伏期間が異なります。主な性感染症の種類と感染経路は以下のとおりです。
性病の種類 | 病原体 | 主な感染経路 |
クラミジア | クラミジア・トラコマチス | 性器の挿入を伴う性交渉、オーラルセックス、アナルセックス |
淋病 | 淋菌 | 性器の挿入を伴う性交渉、オーラルセックス、アナルセックス |
梅毒 | 梅毒トレポネーマ | 性器の挿入を伴う性交渉、オーラルセックス、アナルセックス、キスなど感染部位との接触 |
HIV | ヒト免疫不全ウイルス | 性器の挿入を伴う性交渉、オーラルセックス、アナルセックス |
尖圭コンジローマ | ヒトパピローマウイルス | 性器の挿入を伴う性交渉、オーラルセックス、アナルセックス |
トリコモナス症 | トリコモナス・バギナリス | 性器の挿入を伴う性交渉、オーラルセックス、アナルセックス |
性器ヘルペス | 単純ヘルペスウイルス | 性器の挿入を伴う性交渉、オーラルセックス、アナルセックス、皮膚接触 |
性感染症は、感染しても無症状の期間がある場合や初期症状が軽微な場合があり、気づかないうちに感染を広げてしまう可能性があります。そのため、性行為の際にはコンドームを正しく使用することが重要です。また、性行為後に異変や不安を感じた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
性病の潜伏期間とは
性病の潜伏期間とは、病原体に感染してから症状が現れるまでの期間のことを指します。この期間は性病の種類によって大きく異なり、数日から数ヶ月以上かかることもあります。
潜伏期間中は自覚症状がないため、自分が感染していることに気づかないまま他の人に感染させてしまう可能性があります。そのため、性病の潜伏期間について正しく理解することは、自分自身とパートナーを守るうえで非常に重要です。
潜伏期間の定義と症状発現までの期間
潜伏期間は、病原体が体内に侵入してから、目に見える症状や自覚できる症状が現れるまでの時間のことです。性病の種類によって潜伏期間は大きく異なり、短いものでは数日、長いものでは数年にも及ぶ場合があります。
また、同じ性病でも個人差があり、免疫力の状態や感染量などによって潜伏期間の長さが変わることもあります。潜伏期間中は無症状であることが多く、検査を受けなければ感染していることに気づかない場合がほとんどです。
潜伏期間中に感染を広げる可能性
潜伏期間中は自覚症状がないため、自分が感染していることに気づかないまま性行為を行い、他の人に感染させてしまう可能性があります。
たとえ自覚症状がなくても、性行為をした後に少しでも不安がある場合は、医療機関を受診し、検査を受けることが重要です。また、コンドームの正しい使用など、性病予防を心がけることも大切です。
性病は早期発見・早期治療が重要であるため、定期的な検査を習慣づけることをおすすめします。とくに、複数のパートナーと性行為を持つ場合は、感染リスクが高まるため、より注意が必要です。
主な性病の潜伏期間一覧
性病にはさまざまな種類があり、それぞれ潜伏期間が異なります。主な性病の潜伏期間を見てみましょう。
性病の種類 | 潜伏期間の目安 | 主な症状 |
クラミジア | 1~3週間 | 排尿痛、尿道からの膿など |
淋病 | 2~10日 | 排尿痛、尿道からの膿など |
梅毒 | 10日~3ヶ月 | 陰部にしこり、発疹、リンパ節の腫れなど |
HIV | 2週間~3ヶ月 | 発熱、倦怠感、リンパ節の腫れなど |
尖圭コンジローマ | 数週間~数ヶ月 | 陰部にいぼ状の突起 |
トリコモナス症 | 4~28日 | 排尿痛、尿道からの膿など |
性器ヘルペス | 2~10日 | 陰部に水ぶくれ、痛み、かゆみなど |
上記はあくまで目安であり、個人差があります。また、症状が全く現れない場合もあります。性行為後、少しでも不安な場合は医療機関を受診しましょう。
クラミジアの潜伏期間
クラミジアの潜伏期間は1~3週間です。感染しても自覚症状がない場合が多く、知らないうちにパートナーに感染させてしまう可能性があります。
淋病の潜伏期間
淋病の潜伏期間は2~10日です。クラミジアと同様に無症状のことも多く、早期発見が重要です。
梅毒の潜伏期間
梅毒の潜伏期間は10日~3ヶ月です。感染初期には性器にしこりができることがありますが、痛みがないため気づかない人もいます。治療せずに放置すると、全身にさまざまな症状が現れる可能性があります。
【関連記事:梅毒の可能性が高い4つの症状とは?初期から潜伏期の特徴、検査・治療を解説】
HIVの潜伏期間
HIVの潜伏期間は2週間~3ヶ月と幅広くなっています。初期症状はインフルエンザに似た症状が出ることもありますが、無症状の期間が長く続くことが特徴です。
尖圭コンジローマの潜伏期間
尖圭コンジローマの潜伏期間は数週間~数ヶ月です。性器周辺にいぼのような突起ができます。初期は小さいため気づきにくいこともあります。
トリコモナス症の潜伏期間
トリコモナス症の潜伏期間は4~28日です。排尿痛や外陰部のかゆみなどが現れますが、男性は感染しても無症状である場合が少なくありません。
性器ヘルペスの潜伏期間
性器ヘルペスの潜伏期間は2~10日です。性器周辺に水ぶくれや潰瘍ができ、痛みやかゆみ、発熱などを伴うこともあります。一度感染するとウイルスは体内に潜伏し続け、再発を繰り返す可能性があります。
【関連記事:【医師監修】つらい性器ヘルペス再発を繰り返さない!原因と治療・対処法を解説】
性病の早期発見のためのポイント
性病の早期発見は、感染拡大を防ぎ、自身の健康を守るうえで非常に重要です。早期発見のためには、初期症状を認識すること、そして定期的な検査を受けることが不可欠です。症状がなくても、感染の可能性が少しでもあると不安に思う場合は、医療機関を受診しましょう。
性病の初期症状に気づく
性病の初期症状は種類によってさまざまですが、共通する症状も存在します。初期症状にいち早く気づくことで、早期の治療開始につながります。主な初期症状には、排尿時の痛み、尿道からの異常な分泌物、性器のかゆみ、性器の痛み、水ぶくれや潰瘍などがあります。これらの症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
【関連記事:排尿時に痛みがある…代表的な3つの病気と男性にみられる症状・治療を解説】
症状がないと感じるとき
性病の中には、無症状で経過するものもあります。性行為の経験がある場合は、症状がなくても定期的な検査を受けることが推奨されます。
症状がなくても不安なら泌尿器科へ
性行為後、感染の不安がある場合は、症状がなくても泌尿器科を受診しましょう。早期に検査を受けることで、感染の有無を迅速に確認できます。また、感染していた場合でも早期治療を開始することで、重症化を防ぐことができます。
とくに、コンドームが破損した場合や、避妊に失敗した場合などは、すぐに医療機関に相談することが大切です。
定期的な検査の重要性
性病の中には、自覚症状がないまま進行するものもあります。定期的な検査を受けることで、早期発見・早期治療につながり、自分自身だけでなくパートナーの健康も守ることができます。とくに複数の相手と性行為をする場合は、定期的な検査を強く推奨します。
【関連記事:性病検査のベストタイミングは?症状が出なくても受けるべき時期を解説】
医療機関で行うか市販の検査キットか
市販の検査キットには手軽に利用できるというメリットがありますが、精度や結果の解釈に限界がある場合もあります。
また、市販の検査キットで陽性反応が出た場合、医療機関で確定診断を受けなければなりません。最初から医療機関で検査を受けておけば、結果が出てすぐさま治療を開始できるため、医療機関で検査を受けることが望ましいでしょう。
受診するタイミングの目安
性病の潜伏期間を考慮した受診のタイミングを見てみましょう。
状況 | 受診の目安 |
リスクの高い性行為後 | すぐに |
パートナーが性病と診断された場合 | すぐに |
性病の症状が現れた場合 | すぐに |
性行為後、不安な場合 | すぐに |
最も好ましいのは泌尿器科のかかりつけ医をもつことです。定期的な検査を受けることは、男性の健康な暮らしにとってもはやスタンダードと言えることです。
定期的な検査のほかに、性病に関して受診するタイミングは上記のとおりです。表にあるように、いずれの場合にも自己判断で受診を引き延ばすことなく、すぐに泌尿器科を受診して医師の判断を仰ぐようにしましょう。早期発見・早期治療が重要です。ためらわずに医療機関を受診してください。
とくに、性行為の後72時間以内であれば予防薬の使用ができる場合があります。
性病予防のポイント
性感染症は、適切な予防策を講じることで感染リスクを大幅に減らすことができます。性行為に関わるすべての人が、自分自身とパートナーを守るために、予防策について正しく理解し、実践することが重要です。
コンドームの正しい使い方
コンドームは、正しく使用すれば、多くの性感染症の感染予防に効果的です。しかし、使用方法を誤ると効果が薄れてしまうため、正しい使い方をマスターしましょう。
コンドーム装着のポイント
●コンドームは性行為の開始前から装着します。
●包材から取り出す際は、爪などで傷つけないよう注意します。
●コンドームの先端をつまんで空気を抜き、亀頭にかぶせて、根元までしっかり押し下げます。
●射精後は、亀頭をつまんだまま、陰茎を膣から抜き取ります。
●使用後は、衛生的に処理します。
自分に合ったコンドームを選ぶ
さまざまな種類のコンドームがあるので、自分に合ったものを選びましょう。サイズや素材、表面の加工などが異なります。
予防薬の利用(ドキシペップ)
性感染症の予防には、ドキシペップというお薬を用いる方法もあります。特定の感染症の予防に効果的です。
ドキシペップ
ドキシペップは、性病に感染した可能性がある場合に、72時間以内に服用を開始する薬です。できるだけ早く医療機関を受診することが重要です。効果は服用開始までの時間と相関関係があるため、早ければ早いほど効果が高いとされています。
複数のパートナーと性行為をしている場合は、より慎重に性感染症の予防策を講じる必要があります。感染のリスクが高まるため、定期的な検査の実施が不可欠で、必要に応じて予防薬の利用を検討します。パートナーの数や性行為の頻度に応じて、医師と相談し適切な検査スケジュールを立て、予防策について相談・実施するようにしましょう。
【関連記事:ドキシペップ解説!医師監修による性感染症予防に効果的な使い方とよくある質問】
性病予防に潜伏期間の自己判断は禁物
性感染症にはさまざまな種類があり、潜伏期間もそれぞれ異なるだけでなく、同じ病気でも潜伏期間や症状に幅があるケースがあります。症状に気づかないまま過ごし、病気が進行して手遅れになる可能性もあるのです。
そのため、「これだけの期間が経っているから問題ないだろう」と自己判断をしてしまうのは大変危険なことです。泌尿器科のかかりつけ医を持ち、定期的な検査を受けるところから始めましょう。
ReVIOS大阪梅田院での性病検査について
メンズ専門クリニックReVIOS大阪梅田院では性感染症の検査を受けられ、オンラインで予約・相談が可能です。
※性感染症外来では診断のため、初診時、再診時ともに尿検査が必要となります。
平日20時まで検査が受けられ、JR大阪駅中央口から徒歩1分。梅田エリアの各路線の駅直結で雨に濡れることもありません。来院から最短30分で診察を終えられ、仕事帰りにも気軽に受診できます。
ReVIOSの診察は完全個室で行われ、泌尿器科専門医の診察が受けられるメンズ専門クリニックなので安心。保険診療にも対応しています。検査内容も相談が可能です。くわしくは以下のページをご覧ください。
参考
・感染症情報|厚生労働省
・性感染症|国立感染症研究所
・性器クラミジア感染症|国立感染症研究所
・淋菌感染症|国立感染症研究所
・梅毒|国立感染症研究所
・HIV / AIDS|国立感染症研究所
・尖圭コンジローマ|国立感染症研究所
・性器ヘルペスウイルス感染症|国立感染症研究所
監修
淺川 純平
ReVIOS MEN’S CLINIC院長・泌尿器科専門医
泌尿器科専門医として長年にわたり幅広い男性診療経験をもっています。
特に専門性が高いのは、包茎手術・性感染症治療・ED治療・男性ホルモン治療の分野。多くの患者様から信頼を集めています。
医療の現場で培った知識をもとに、SNSやコラムを通じて正しい医療情報を発信中。患者様お一人おひとりの不安に寄り添い、安心して治療を受けていただける環境づくりを心掛けています。
このコラムではそんな院長の信念のもと、わかりやすく正確な情報をお届けしています。